12月 2011
12件の投稿
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座敷妹
遠野に伝わる妖怪。十数人の妹に囲まれて楽しく暮らしていた兄が、ふと気がつくといつのまにかひとり増えている。しかし誰が新しい妹なのかは決してわからない。それこそが「座敷妹」である。そしてそのまま居つくという。「座敷妹」が居座った家庭に福運が呼び込まれるとかそういったことは全くないので、単に食い扶持が増えるだけなのだが、それを気にするような兄の下には「座敷妹」も寄り付かないので特に問題はない。 ...
12月 29
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唄い骸骨
骨伝導スピーカーの存在からも判るように、音声は骨格を伝わっている。声帯によって発せられた声は、骨と肉によって増幅され、空気を震わせる。 実際の所、人骨はそうして発せられた音声を余す所なく記憶している。産声から今際のうわ言までの全てが、年輪としてそこに刻まれている。勿論、それは単に音声が人骨中にごく微細な波形を残しているに過ぎない。骸骨に耳を当てても生前の声は聞こえるはずもない。 しかし近年の研究成果は目覚しく、遂に人骨中に秘められた音声の痕跡を検出、再生することに成功した。これによって、死者が生前に発したあらゆる言葉が再現可能となった。犯罪捜査、歴史研究、家庭争議その他、様々な分野での活用が期待されている技術である。
12月 29
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水魔
夏に活発になる妖怪で、海や川の中に潜んで待ち伏せし、油断している人間を引きずりこむ。水難事故の多くがこの妖怪の仕業である。 元は溺れ死んだ人間の怨霊だとも言われている。彼らが他の者を溺れさせればその代わりに自身が水から抜け出せるともいう。これなどは四国の「七人みさき」と同様の言い伝えであろう。 ずっと水に浸かっているせいですっかり陰気になったためだろうか、活発なものに弱く、念入りに体操などした人間には近寄ろうとはしない。水に入る前に入念に準備体操をするというのは、この「水魔」を避けるまじないとしての意味があるとされる。 嵐の時に田んぼの様子を見に行った農夫が水路に流されるというのも、水魔が足を引っぱるせいなのかもしれない。 ...
12月 29
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同名の異性に欲情
男女兼用できる日本語名がある。たとえば「ユウキ」や「マコト」という名は、男女どちらでも名づけられうる。 さて、ここにひとりの女性がいる。彼女は女だが、彼女の名前は、男にも普通に名づけられる名だ。 彼女の性癖は特殊で、自分と同じ名の男性にのみ劣情をおぼえる。 人の名づけは、固体識別に必要なものだ。 自分と相手が同じ名であれば、同一人物だと誤解されることもある。 そんな同名の相手と交合すれば、自分はいったいどうなってしまうのか。 もし結婚して同姓になれば同姓同名になるであろうことを想像し、彼女は興奮する。 婚姻届を夢想する。
12月 27
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米一粒は黄金一粒
電子立国の名残は消えうせ、土地ある限り、水田となった日本。都市には立体水田が溢れ、道路にはトラクターやコンバインが走る。 日本産の米の価値が高騰。経済的に窮地に追い込まれていた日本は、農業国家へと舵を切り、V字ターンを実現する。
12月 25
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エレベーターガール
私はエレベーターが来るのを待っている。 エレベーターの扉が開く。ケージには人間がひとり乗っている。エレベーターガールが乗っている。 通常と異なるところはひとつだけ。彼女は風船を手にしている。ヘリウムが入っているのだろう、ふつうのゴム風船。彼女はゴム風船につけられた糸の端を持っている。 エレベーターガールは口を開く。エレベーターガールとして当然の言葉を口にする。つまり「上へ参ります」と言った。 風船が上昇する。糸につかまった彼女は風船に引っ張られるようにして宙に浮く。エレベーターガールの足がケージの床面から離れる。エレベーターガールの肉体は上方向へ消えていく。そして見えなくなる。 私の目の前には、扉が開いたエレベーターのみが残される。
12月 24
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座敷わらし回収業
家に繁栄をもたらすと言われている座敷わらし。 その座敷わらしを回収していく業者があるという。 目的は、富の収奪か。あるいはその屋敷への何らかの罰か。 はたまた社会全体に運勢を循環させるためか。
12月 22
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四千万歩の男・伝奇編
五十歳で隠居してから天文と測量を学び、ついには日本列島の精細な海岸線を地図として纏め上げた男、伊能忠敬。 彼の出身地である下総国では、伊能家は密かに「異能家」と呼ばれ畏怖の対象となっていた。伊能家は太古の秘術を司る呪術家の血筋であり、婿養子である忠敬も当然ながらその秘儀を伝授されている。測量事業を幕府に援助させる上でも伊能の秘術がひとつの重大な要因となったことは想像に難くない。 忠敬の測量の旅は、実際多大な危険を孕んだものであった。公儀に対して不穏な態度が見え隠れする薩摩などといった土地も、一歩一歩測って進まねばならない。忠敬一行は旅の途次、正体の知れぬ輩に何度か襲撃を受けている。そういった時に身を守る術として用いられたのが伊能家の秘術であった。 ...
12月 15
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愛のないセックス
愛のないセックスのときは、挿入されると噛み千切るように遺伝子操作された新人類。 性犯罪や未成年の性行為の数は激減するがしかし、結婚した男女間での性行為の回数も減っていき、人口は緩やかに減少していった。これは新たな問題として捉えられたが、地球全体の人口増加問題に対する対策となっており、大きく取り上げられることはなくなった。 この環境下において、子供を持つことは、両親に愛があったことの証であり、子供が居ることは新しいステータスとなる。 しかし、噛み千切られた被害男性の数は増えていき、それら、去勢された男性たちは、やがて第三の性として認識されるようになった。これが副作用として現れた新しい人類であった。
12月 14
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部分的幽体離脱症
部分的幽体離脱症または心体不一致障害。 朝起きたつもりが、上半身だけ幽体離脱。幽体離脱して腕があがらない。幽体離脱して一歩踏み出せない。金縛りにあって体が動かない。これらは、幽体が部分的に体から離れたことにより起こることがわかってきた。 通常、健康な人間の身体と幽体は一致している。頭でイメージしたとおりに体が 動くのは、幽体のおかげである。実は、脳で描いたイメージを、正確に身体に伝える手段は人体に備わっていない。代わりにイメージ通りにまず幽体が動くことで、その物理的情報を身体に伝え、イメージ通りの動作が実現される。また脳は一部の処理演算を幽体に任せていると思われるところも発見されている。 ...
12月 6
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年末交通安全運動
いつものように職場に向けて車を走らせていた朝、ちょっとした気紛れで裏道を走ったばかりに子供をはねてしまう。 鈍い音と衝撃。赤いのはランドセルなのか子供自身なのか。 人気のない裏道のことで、目撃者もいない。動転してそのまま逃げ出した。 そのまま仕事を休み、家に籠って一日過ごす。遠くでサイレンが聞こえたような気がずっとしている。 眠れない夜が明けてから一日ぶりにテレビを点ける。ニュースには轢かれた子供のことなど出てこない。 少し安心するものの、何かがおかしい。 ニュースの日付が、昨日と同じなのだ。 酔ったような気分で外に出てみると、車も凹んでいない。 ――となると、全部夢だったのか。 腰が抜けるほど安心して、改めて出勤する。 今度は念のため、裏道など通らずいつも通りの道を走る。 音と衝撃。赤。 今度こそ本当に子供を轢いた。 人が集まってくる。 ...
12月 6
11月 2011
17件の投稿
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おっぱい探偵
「失礼ですが、奥さん。Dですね」 「は?」 「Dカップかと聞いてるんです。大事な事です。奥さん、答えてください」 「な、なんの関係が」 「奥さん、乳の形や重さが、精神状態によって少しずつ変動していることをご存知ですか」 「し、知りません」 「じゃあ、あなたの胸で教えてあげましょう。私のこのゴッドハンドなら、簡単に計測できます」 「ちょ、ちょっと!」 「心配ありません。私があなたの胸を揉んで…測っている間に、いくつか質問させていただく。静かに!あなたの容疑を晴らすためでもあるんですよ! さあ、奥さん。挟ませて下さい」 「ちょった! ちょっと待った!」 部屋に別の男が入ってくる。 「そいつは偽物です! 奥さん、だまされないで!」 「全然、だまされてません! 助けて!」...
11月 30
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